今回は臨床でも頻繁に使われる肩関節の前方の不安定性を判別するフルクラムテスト(てこ台検査)の方法を説明します。
今回は肩関節の不安定性をテストするものになりますが、肩関節の不安定性のテストは
肩関節の前方・後方の不安定性テスト(anterior/posterior apprehension test)
肩関節の下方の不安定性テスト(sulcus sign)
もありますので、合わせて要チェックです。
私はこの本から学び始めました!後輩と一緒に読みながら、発行されてから数年経った今でも使っています。なんの本なら良いのか分からない・迷っている人には本当におすすめなので、是非検討してみてください。
目次
フルクラムテスト(fulcrum test)
フルクラムテストとは、別名「てこ台検査」と呼ばれます。
フルクラム:「fulcrum」とは、「てこ・支点」の意味を持つのですが、さて、何が「てこ・支点」なのでしょうか。
テストされる人の姿勢
テストする人(検査をする人)の動き
- 上記の通り寝てもらいます。脱力するように伝えておきましょう。
- 肩のやや外側とベッドの間に自分(検査をする人)の拳を入れます。この拳がてこになっています。(このてこがあるからこそ肩関節にストレスがかかりやすくなりますので、このテストの有意性はここにあります!!!!) 拳を入れるだけで痛がる人を多く経験したので、写真では手の平を入れています。
- そこから検査する側の腕の手首を持ち、肘の位置が動かないように腕を外側(上の方)に回します(肩関節外旋)。
動画
みるべきポイント
腕を外側に回した時(肩関節外旋)に痛みや肩が外れそうな不安感が出現したら陽性になります。
リロケーションテスト(relocation test)
さて、このフルクラムテストが出来たら、合わせて行いたいのがリロケーションテスト(relocation test)です。
やり方・みるべきポイント
これは、フルクラムテストを行った際に痛みや肩が外れそうな不安感が出た時に行います。その不安感が出た時に肩の外側(上腕骨頭)を上から下に押します。拳を入れた腕の部分を上から下に押すということですね。
その押した時に、先ほど生じていた痛みや不安感が消失すればこのテストは陽性となります。
肩関節に限らず、全体的に勉強したい方、新人の方はこの本がおすすめ。超有名な京都大学の一橋先生の本ですね。まずはこの1冊で学んでみると良いと思います。 |
まとめ
フルクラムテスト(fulcrum test)、リロケーションテスト(relocation test)の方法を紹介しました。
これらは不安定性のテストになりますので、基本的には肩の前部分に痛みが生じると考えられます。もし肩の後ろが痛くなったという場合は、インピンジメント(挟み込み)によって痛みが生じている可能性がありますので、その場合はインピンジメントのテストを行ってみましょう。
またこのリロケーションテスト(relocation test)が陽性であった場合は、特にアプリヘンジョンテスト(apprehension test)を必ず行うようにします。同様の前方の不安定性のテストですので、信頼性はグッと上がります。
また他の肩関節の筋肉の検査を行いながら、総合的に判断しましょう。テスト単独での信頼性は低いため、複数のテストを行って下さい。要チェックポイントです。
その他のテスト結果や主訴との兼ね合いで、何か心配になることがあれば医療機関への受診をお勧めします。
.Shoulder pain in the overhand or throwing athlete. The relationship of anterior instability and rotator cuff impingement. Orthop Rev. 18(9): 963-75, 1989
An evaluation of the apprehension, relocation, and surprise tests for anterior shoulder instability. Am J Sports Med 32(2): 301-7, 2004
コメント