今回は臨床でも頻繁に使われる肩関節の受け皿である関節唇と呼ばれるものが損傷しているかどうかを判別するクランクテスト(Crank test)の方法を説明します。
肩関節の関節唇損傷のテストはオブライエンテストがあります。これも合わせて要チェックです。
肩関節の勉強をする上でおすすめの参考書です。
この本は買ってから未だに見続けています。具体的なアプローチ方法、考察の進め方も買いてあるので、初心者のPTは本当おすすめです。
目次
クランクテスト(Crank test)
テストされる人の姿勢
テストする人(検査をする人)の動き
- 上記の通り座ってもらいます。
- 鎖骨と肩甲骨の上から手を置き、肩甲骨を固定させます。
- もう一方の手で、肘を掴み、肩関節方向に圧迫をかけながら腕を内側・外側に回します(軸圧をかけながら他動肩関節内外旋運動をします)。
動画
みるべきポイント
腕を回している時に、ゴリゴリっと音がしたり痛みが出た場合に陽性となります。
また実際の競技や動作中に生じる同じような痛みや引っ掛かり感が出た場合でも、陽性となります。
まとめ
クランクテスト(Crank test)の方法を紹介しました。これはSLAP損傷を認める場合に陽性になりやすい所見になります。
SLAP損傷とは「Superior labrum from anterior to posterior」の略語であり、肩関節の受け皿の上側の部分が損傷することを言います(肩関節上方関節唇損傷)。
特に野球での投球、バレーボールやテニスで腕を上から振り下ろすような動作で痛みが出現しやすいと言われています。また手を勢いよく地面についたり、腕をグイッと引っ張られて損傷することもあります。
肩を上げる角度が90°と160°で書いているのは、参考書や文献によって言われているものが異なるからです。
またこのテストのみならず、このテストだけが陽性になったからと言ってすぐに対応が必要とは考えられません。実は、テスト単独での信頼性は低いのです。他の関節唇テストや肩のインピンジメントに関するテストを行って判断します。
野球の理学療法についての本はこれを使って勉強しています。細かいアプローチ方法も載っているので分かりやすいです。
肩のインピンジメント(挟み込まれて痛い場合)のテストはこちらです。
その他のテスト結果や主訴との兼ね合いで、何か心配になることがあれば医療機関への受診をお勧めします。
その他の様々な原因に対する肩関節のテストはこちらにまとめてあります。
その他のテスト結果や主訴との兼ね合いで、何か心配になることがあれば医療機関への受診をお勧めします。
.A prospective evaluation of a new physical examination in predicting glenoid labral tears. Am J Sports Med 24(6): 721-5, 1996
2)皆川洋至, 井樋栄二.スポーツ肩障害における関節唇損傷に対する各種疼痛誘発テストの診断的有用性. 臨整外37:679-83, 2002
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