今回は臨床でも頻繁に使われる肩関節の受け皿である関節唇と呼ばれるものが損傷しているかどうかを判別するオブライエンテスト(O’brien test)の方法を説明します。
SLAP損傷と呼ばれる怪我をした時にも判断のために使用されます。
肩関節の関節唇損傷のテストには他にクランクテスト(Crank test) があります。
単独のテストでは判断出来ないため、これと合わせて行うようにしてください。
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肩関節に対しての具体的なアプローチ方法や進め方が載っているので、新人の人には特におすすめです。
目次
オブライエンテスト(O’brien test)
テストされる人の姿勢
テストする人(検査をする人)の動き
- 上記の通り座ってもらい腕を挙げてもらいます。
- ①のように親指を下に向けた状態で腕を挙げてもらったら、腕を上から下に押します。テストされる人には「腕を上げたままにして負けないようにしてください」と伝えて、抵抗に抗するように指示します。(画像・動画では親指は横を向けています。)
- 次に②手のひらを上に向けた状態で腕を挙げてもらった状態から、同様に腕を上から下に押して、抵抗してもらいます。
①
②
動画
①
②
みるべきポイント
①のように親指を下に向けた状態で力を加えた時に肩の奥に痛みやゴリゴリっという音がするが、②の手のひらを上に向けた状態では痛みやゴリゴリッとした音が消失する場合に陽性となります。
まとめ
オブライエンテスト(O’brien test)の方法を紹介しました。このテストはSLAP損傷の人に特に陽性になると考えられています。
SLAP損傷とは「Superior labrum from anterior to posterior」の略語であり、肩関節の受け皿の上側の部分が損傷することを言います(肩関節上方関節唇損傷)。
野球での投球、バレーボールやテニスで腕を上から振り下ろすような動作で痛みが出現しやすいと言われていて、また手を勢いよく地面についたり、腕をグイッと引っ張られて損傷することもあります。
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このオブライエンテスト(O’brien test)を考案したO’brienさんは、このテストの敏感度は100%、特異度と有効度は99%だったと報告しており1)、StetsonとTemplingはそれぞれ54%と31%であったと報告しています2)。
なぜこれほどまでに差が出ているのでしょうか。やはり、「考案した人だから良い結果になっている」という考えは外せないかと思います。誰だって自分が考えたものであれば、良い結果を出して公表したいですからね。もちろん不正をしているとは思いませんが、そのあたりの可能性は頭に置いておいても良いかと思います。
よって尚更、このテストだけが陽性になったからと言ってすぐに対応が必要とは考えられないのもわかるかと思います。テスト単独での信頼性は低いからです。他の関節唇テストや肩のインピンジメントに関するテストなど、複数のテストを行って判断するようにしましょう。
その他の様々な原因に対する肩関節のテストはこちらにまとめてあります。
筋肉の損傷が痛みを引き起こしている可能性もあるので、しっかりチェックですね。
その他のテスト結果や主訴との兼ね合いで、何か心配になることがあれば医療機関への受診をお勧めします。
.The active compression test: a new and effective test for diagnosing labral tears and acromioclavicular joint abnormality. Am J Sports Med 26(5): 610-3, 1998
The crank test, the O’Brien test, and routine magnetic resonance imaging scans in the diagnosis of labral tears. Am J Sports Med 30(6): 806-9, 2002
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